信州松本ぺんぎん堂

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春馬くんも食べてくれた納豆の麺

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今日は三浦春馬さんの4回目の月命日です。

これほど美しい人がこの世から消えてしまった不条理に悲しみと憤りを感じざるを得ません。

春馬さんのMVは歌声も踊りも美しく、私も何度も何度もくり返し見ているのでここに貼らせていただきました。

 

さて、今回ご紹介するのは著書「日本製」の取材で長野県大町市の楽器製造メーカーフジゲンを訪れた際、春馬さんも召し上がって「おいしい」と言った大町市のご当地麺です。

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「日本製」の長野県のページ

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このページにおざんざの感想が書かれています

 

 

大町市のご当地麺の正体は??

大町市のご当地麺は細麺のうどんで、その名もおざんざ。面白い語感ですが、主に北信地方で麺類のことをおざざというところから名づけられました。うどん生地に食塩を使用せず、納豆を練り込むことが特徴です。

春馬さんがおざんざを食べたのも故郷・茨城では納豆が有名だから。「納豆と聞いてチャレンジないわけにはいかないでしょう」と。インスタライブでも納豆について熱く語っていたくらい納豆と健康を大事にしていた春馬さんです。

 

しかし、このおざんざ、誕生の歴史としてはそれほど古いものではありません。どうして麺に納豆を練り込むことになったのか、そこには心温まる理由がありました。

 

料理人の思いやりが生んだおざんざ

戦後間もない頃、大町市の料理人・水口裕義さんは納豆売りの子どもの健気さに心を動かされて頻繁に納豆を購入していました。そんなある日、水口さんはこの納豆を使って名物料理を作ろうと思い立ったのです。水口さんが納豆売りの子どもに心を寄せなければ大町市の名物・おざんざは誕生していなかったでしょう。

試行錯誤を続けていた水口さんは「天皇陛下の料理番が納豆を水で洗ってお出しした」というエピソードに着想を得て、納豆の糸だけを抽出して麺に練り込むという斬新な麺を開発。乾麺としての商品化にも成功したのです。

開発した納豆の麺に「つららめん」と名づけた水口さんは、自ら開業した旅館「河昌」で提供したり地元のお店で販売していましたが、思うように売れませんでした。旅館の女将が宿泊客に意見を求めると「このあたりにはおざんざという方言があるという。それを商品名にしてみたら?」と提案され、おざんざと改名。その途端に売れ行きは急上昇したのだといいます。名前って大切だ。

 

消えてしまったおざんざ

私が始めておざんざを食べたのは90年代後半のことで、大町に行った人におみやげでいただいたものでした。

茹でると湯気の中からほんのり納豆の香りがして、ゆであがった麺はつるっつるで箸で持つのが難しいくらいでしたが、喉ごしが抜群。私はすっかりおざんざが好きになりました。

しかし、当時は自分の家の近くでは松本駅ビルのおみやげやさんでしか見かけたことがなかったし、それほどお安くはなかったのでその後2回ほど食べただけでした。

いつか食べたいな〜と時々思い出してはいましたが、東京へ引っ越した私にそんな機会は訪れず、そうこうしているうちになんとなんと!おざんざの製造元、河昌が倒産したというニュースが2017年3月に飛び込んできました。ええ〜、もっと何度も食べておけばよかったと後悔するとともに、諸行無常を感じて悲しくなってしまいました。

みなさんも、食べたいものがあったら悩まずに食べておきましょう。永遠に存在するものなんて何ひとつないのですから。食べ物じゃなくても何でもそうですよね。人間にだって、会いたいときに会っておきましょう。やりたいとおもったことはやっておきましょう。

 

おざんざ復活!!

しかし、今年9月、嬉しいニュースが飛び込んできました。

そう、小見出しに書いたのでバレバレですが、おざんざが復活したのです!いぇ〜い!

おざんざの消滅を惜しんでいたのは私だけじゃなかったんだね(*^▽^*)

 

おざんざを復活させたのはNEXCO中日本信州大学アルピコ交通が連携した復活プロジェクト。リニューアルおざんざは梓川サービスエリア上り線で販売が始まりました。そこでしか買えないというのは、何でしょう、プレミアム感の演出でしょうか。けれど文句は言いません。せっかく復活したおざんざがまた姿を消したら悲しいですから。

おざんざが食べたいというと信州に住む姉がわざわざ梓川サービスエリアまで行って購入して送ってくれました。

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新おざんざのパッケージ

リニューアルしたおざんざは元祖と比較すると麺は卵不使用、納豆は粉末にして練り込む製法に変更されているとのこと。

 

復活したおざんざを食べてみた!

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麺はうっすら茶色味がかっています

平べったい麺は昔食べたおざんざよりも色が茶色い気がします。昔の河昌のおざんざの方が色白だったような記憶があります。やはり糸だけでなく納豆そのものを麺に練り込む製法に変えたからでしょうか。

麺の長さも元祖の河昌のおざんざはパスタくらい長かったような??

様々な変化は感じましたが、私はおざんざを再び食べることのできる喜びに包まれつつ料理しました。

 

乾麺をお湯に投入すると湯気の中にうっすらと納豆の香り。あれ、こんなににおわなかったっけ?とここでも少し変化を感じましたが、20年も前の記憶ですから正直曖昧です。

 

私はおざんざ1袋を半分に分け、最初の日はそうめんのように冷やしてめんつゆにつけて食べ、数日後に温かいうどんのようにして食べました。どちらも麺をすすると遠くの方から「お〜〜〜〜い」と納豆の声が聞こえてきて「あ、納豆くん、そんなところにいたの?」と気づくという感じで、ほとんど納豆の味はしませんでした。「正直、納豆っぽさはないかな」と春馬さんがちょっとがっかりしたくらいですから(笑)。それでも!おざんざがおいしいことにも健康にいいことにもかわりはありません。おざんざ万歳!

 

 パッケージにも書いてありましたが、食塩不使用なので健康のために塩分を控えている方や赤ちゃんの離乳食にもオススメ。

 

ああ、また食べたいな。おざんざ。