信州松本ぺんぎん堂

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ふっくら市田柿

こんばんは茶々丸です。

今日も昨日に引き続きお正月の食べ物シリーズで攻めたいと思います。

もしかしたら他の地方では違うかもしれませんが、長野県の南信から中信にかけては昨日もご紹介した栗、そして豆のほかに柿、特に市田柿を食べる風習があります。柿は福をかき集めるのかき、から来る縁起物のようです。

ということで私は今年も市田柿を買いましたよ。今年は大袋ですっ!

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どーん!

 

 

そもそも市田柿とは?

市田柿というのは現在の下伊那郡高森町の市田地域で栽培されてきた渋柿の品種名なのだそうです。その栽培の歴史はなんと500年以上もあるのだとか。この市田柿の皮をむいて干したものを市田柿といいます。品種名も市田柿、商品名も市田柿です。南信州のブランド干し柿です。

袋に丸い日の丸のようなシールが貼られていますが、これは2016年に地理的表示(GI)保護制度に登録された証です。GIとはあのダイエットのときに気にするGI値(Glycemic Index)ではありません。GI地理的表示制度とはその地域の生産方法、機構・風土・土壌などの産地の特性により、高い品質や評価を獲得した商品のうち、品質や社会的評価などが産地と結びついているものについてその名称を知的財産として保護する制度です。そうか、保護しないとどこかの国が勝手に商標登録したりしちゃいますからね。

www.maff.go.jp

 

アグリスタくましろ市田柿

もうひとつのシールに書かれたシリカブラック農法遠赤外線加工も気になるので調べてみました。これは私が購入した市田柿を生産したアグリスタくましろさんならではの栽培方法と乾燥方法のようです。全ての市田柿生産者が取り入れているわけではなさそうです。

まずシリカブラック農法とは常温で遠赤外線を吸収・放射する鉱石の商品名で、このシリカブラックを柿の木の株元に塗ることで育成光線を放射させ柿の内部組織を活性化させて良質な柿を生産しているのだそうです。 

そして遠赤外線加工は柿を干すときに使われる加工法です。市田柿は秋の紅葉を迎える頃の11月上旬から中旬に収穫し、皮をむいて暖簾に吊して干します。「柿のれん」ですね。昔は風通しのいい場所に干していたようですが、現在では衛生上の理由から専用のハウスに干しているそうです。アグリスタくましろではこの干す作業のときに柿に遠赤外線をあてて、内部から温めることで柿の中の余分な水分を放出させているそうです。早く水分が抜けるので甘みを中に閉じ込めることができるのだとか。通常の自然乾燥だと外側から段々乾いていくので柿の仲間で乾くまでに何日もかかってしまううえ、外側が固くなってしまいますが、遠赤外線で乾かすとふっくらと仕上がるようです。

アグリスタくましろでは金の柿というオンラインショップも開設しています。

www.agrista-kumashiro.com

 

市田柿のお味

それではいよいよ実食です!

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ふっくらとしています

遠赤外線の効果か、干し柿なのにふっくらしています。干し柿は周りに白い粉が付いていますが、この市田柿はあまり白くない気がします。ちなみに白い粉の正体は何かというと、ブドウ糖の結晶です。しかし、人工的なブドウ糖をまぶしたわけではありません。干し柿の製造には揉むという工程もあって、干した柿を紐から外してコロコロと揉むと水分と一緒に果実の中にある糖分がにじみ出て結晶になるのだそうです。霜柿ともいわれ、均一に薄く白い粉に覆われた市田柿は極上とされています。そいえば、干し柿の白い粉をペロッとなめるとフロストシュガーみたいな味がしますよね。

そして、お味はというと、干し柿というからにはドライフルーツのように固いイメージがありますが、この市田柿はふっくらして柔らかです。とてもしっとりしています。多分入れ歯の方でも全然OKだと思います。かといってあんぽ柿ほどねっちょりしていません。固さも水分も丁度よい感じです。おいしいです。

 

市田柿を使ったスイーツもある

若者にとっては干し柿なんてあまり魅力のある食べ物ではないかもしれませんが、近年では市田柿ミルフィーユなるスイーツも登場しています。スライスした市田柿の間に発酵バタークリームチーズなどを挟んでミルフィーユにしてあるものです。今回は購入しませんでしたが、以前バターの市田柿ミルフィーユを食べたときにはとてもおいしくて感動しました。ある意味では年寄り臭い市田柿が高級スイーツに姿を変えています。それでもある程度大人の食べ物な気がします。ワインとかブランデーとか飲みながら食べると合いそうなお味なのです。南信地方の複数のお店で市田柿ミルフィーユを製造販売しているようなので興味のある方はお取り寄せしてお洒落な晩酌を楽しむのもありだと思います。

実は私も若い頃は干し柿の魅力はまったくわかりませんでした。亡き母が市田柿が好きだったので、母にお供えするためにときどき買っているうちにそのおいしさがわかってきました。ニチニチした食感もクセになります(笑)。

冬の間はまだスーパーに市田柿が並んでいると思います。よかったらみなさんも一度市田柿を召し上がってみてください。

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございました!