信州松本ぺんぎん堂

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がんこおやじの野沢菜

こんばんは、ぺんぎん茶々丸です。

本日はまたまた松本市在住Mさまからいただいた信州の味をご紹介いたします。Mさまはもう茶々丸の台所を支えていると言っても差し支えありません。いえ、確実に茶々丸の台所と胃袋とぺんぎん堂を支えています。本当に感謝しきれません。

 

 

プレミアムな野沢菜のお味は?

今回のMさまチョイスはこちら!

がんこおやじの安曇野産100%野沢菜醤油漬です!

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がんこおやじっ

 

 

「プレミアムな野沢菜を皆様の食卓へ」と書いてあります。これは期待大!

しかも、丸正醸造の醤油を使っています。丸正醸造は松本の老舗で、私が大好きなしののめを作っているところです。しののめについて詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ。

shinsyu-matsumoto-pengin-dou.hatenablog.com

 

一般家庭では普通、野沢菜はお塩で漬けます。よく水洗いした野沢菜を漬け物桶に入れて、お塩とお好みで唐辛子、昆布、煮干し、柿の皮などを入れます。

ということで、醤油漬けはどんな姿なのか……?

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袋に1株入りです

袋の中には1株の野沢菜がきれいに畳まれて入っていました。

「袋から出した野沢菜は水洗いしないで、手でさっとしぼってお召し上がり下さい。」と書かれていたのでその通りにしました。

 

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野沢菜醤油漬

おお〜。見事な漬かり具合です。昆布も入っていました。色補正していないですよ。おいしそうでしょう?

ということで気になるお味ですが、色が濃いので塩分が高そうに見えますがそんなことありませんでした。うっすら甘みもあっておいしいです。旨味もあります。多少こわい(こわいは松本の言葉で食べ物が固いという意味。怖いじゃありません)感じもしますが、菜っ葉の漬け物ですから許容範囲です。これで何杯もごはん食べられそうです。細かく切って油炒めにしてもおいしそうな味です。多分私はそんなことする前に平らげてしまいそうですが(えへへ)。

茎の部分もおいしいですが、葉っぱの部分を広げてごはんを包んで食べると最高です(≧∀≦)

 

がんこおやじとは?

箱の右上におじさんの顔とがんこおやじという文字が入っていましたが、がんこおやじ穂高観光食品という安曇野市の食品会社のブランドです。子どもの頃は「なんでがんこおやじ?やさしいお父さんの方がいいだに」と思っておりました。ちなみに茶々丸父はやさしい方のお父さんでがんことは無縁でした(多分)。

そして、がんこおやじと名づけた理由や設立日などを知りたいと思いましたが、穂高観光食品さんのHPにはそれらしき記述は見つからず。「無駄に華美な言葉はいらねえじ」というがんこおやじ的な飾り立てない実直さを感じるHPでした。そんなこんなでがんこおやじというブランド名の理由はわかりませんでしたが、推測するに信州、就中安曇野の味をがんこに守り続けるという決意の表れかもしれません(まったく的外れだったらごめんなさい)。

www.hks-ganko.co.jp

 

そもそも野沢菜漬けとは?

信州と言えば野沢菜ですが、一体野沢菜漬けはいつ頃から作られ始めたのか調べてみました。

信州には野沢温泉村というその名もズバリの場所があり、もちろん野沢菜はこの村の発祥です。野沢温泉村の健命寺の口伝では宝暦年間(1751〜1763)に当時の八代目住職・晃天園瑞和尚が京都遊学の折に大阪の天王寺で栽培されている天王寺蕪の種を入手して帰村し、お寺に撒いたことから始まっているとされています。園瑞和尚が撒いた種は標高600メートルの豪雪&寒冷地の野沢温泉村で突然変異を起こし、天王寺蕪野沢菜になったというのです。京都・大阪に比べたらかな〜り寒いですからね。天王寺蕪の種さんも身を守るために最大限に努力して野沢菜に変身したのかもしれません。ただし!Wikipediaには遺伝的研究からこの説は否定されているという記述があります。何でも日本の蕪は西日本で主流のアジア系と東日本の山間地に多く耐寒性に優れるヨーロッパ系があるそうですが、天王寺蕪はアジア系、野沢菜はヨーロッパ系なのだそうです。

健命寺の袋にも蕪菜と書いてあり野沢温泉村ではこの菜っ葉を蕪菜と呼んでいたのですが、大正時代に開設されたスキー場を訪れた都会のスキーヤーが蕪菜のおいしさに感動して「野沢菜」という愛称をつけたのが全国的に広まり定着したのだそうです。

野沢温泉観光協会さんのHPには「地元の人はお菜やお葉漬けと呼んでいます。」と書いてありますが、ああ、そうだった!と思い出しました。確かに松本に住んでいたときにはうちでも「お菜」「お葉漬け」「お菜漬け」と呼んでいました。もっとちっちゃいときは「おなーな食べなさい」とよく言われたもので、幼児語では「おなーな」でした。野沢菜と呼ぶようになったのは比較的最近のことです。

詳しい野沢菜の歴史は野沢温泉観光協会HPをご覧ください。

nozawakanko.jp

 

そういえば、まだ祖父母がとても元気で自分たちで野沢菜を漬けていた頃、「お菜はデリケートだで信州から出ると味が変わっちまうだ」「温度のせいずらなあ。気温が高いところではお菜はおいしくないだ」なんて話していたことを思い出しました。野沢温泉生まれならそうかもしれません。けれど、お店で売っているような野沢菜はそういった変化も乗り越えて全国どこで食べてもおいしく作られていると思います。それにいまは輸送手段も保存手段も格段に進化しているのでお刺身を信州でもおいしく食べられるのと同じくらい野沢菜も他の地域でおいしく味わってもらえることでしょう。現に東京で私がおいしく食べていますから。

また、大学の同期だった子が数人の友人とスキー旅行で野沢温泉村に行ったときのエピソードを話してくれたことも思い出しました。友人たちが宿に着いたときにお茶と一緒に野沢菜をどんぶりに山盛りに出されて「こんなに食べるわけないじゃない」とみんなで大笑いしのに、結局平らげてしまったというのです。「だって、野沢菜が思っていたよりずっとおいしかったんだもの」と。そうなんですよね、野沢菜はごはんの友であるだけでなく、お茶うけでもあるのです。だから、信州に遊びに行くと大量の野沢菜でおもてなしされることがあるかもしれません。

そういえばこの友だち、「お水がおいしいとかよく言うけど、私はお水に味があるわけないじゃないとずっと思っていたの。でも信州でお水を飲んだときに生まれて初めて『お水っておいしいんだ!』と感動したのよ」とも言ってくれました。故郷がほめられてとても嬉しかったです。また、旅先の土地を素直にほめられる友だちもとても素敵で、私も見習おうと思ったものです。

 

野沢菜は腸美人を作ってくれるゾ!

野沢菜について検索していたところ、有名な発酵学者の小泉武夫さんの丸ごと食マガジというサイトで取り上げられているのを発見しました。タイトルも素晴らしく野沢菜漬けと健康長寿!でした。

小泉先生のお話によると野沢菜には生きたまま腸に届く植物性乳酸菌がたっぷり含まれているそうです。植物性乳酸菌は善玉菌で、腸の働きを活発にしたり、病気の感染を防いだり、消化管の免疫力を高めてくれるそうです。その結果、便秘解消や肌のトラブル解消、病気予防、疲労回復、老化防止などの効果が期待できるのだとか。

また、野沢菜は食物繊維をたっぷり含んでいるため腸内にいる善玉菌の増殖を促すのにも一役買ってくれるといいます。さらに、ナトリウム、カリウム亜鉛、ビタミンA、βカロテンなども豊富に含まれているといういいことずくめです。

また、漬けて数日しか経っていない新漬けよりも数ヶ月かけて鼈甲色になるまで漬け込んだ古漬けの方が乳酸菌が豊富とのこと。

そしてさらに!漬け物は塩分が気になりますが、野沢菜漬けは塩分を排出してくれるカリウムをたっぷり含んでいるので必要以上に神経質になることはないそうです。

なんか、すごいぞ野沢菜

koizumipress.com

 

最後に

いかがでしたか?

全国にはおいしいお漬け物がたくさ〜んありますが、信州の野沢菜もみなさまのおうちの食卓にたまにのることがあると嬉しいです!

最後までお読みいただきありがとうございました。