― 暁斎・夢二・巴水ら 絵師たちと作り上げた世界 ―
皆さまいかがお過ごしでしょうか。
信州松本ぺんぎん堂安曇野支店蒼月です。
先日、上田市にある「サントミューゼ 上田市立美術館」へ、「榛原コレクション」を観に行ってまいりました。


会場に入ってまず目を奪われたのは、色鮮やかな千代紙の数々。





大胆に描かれた牡丹や、幾重にも花びらを重ねた菊。華やかな色彩と繊細な文様が目を楽しませてくれます。昔のデザインでありながら、今見ても新鮮で、思わず足を止めてしまいました。
けれど、今回の展覧会で私がとりわけ興味を惹かれたのは、導入部分で紹介されていた「雁皮紙(がんぴし)」でした。
雁皮紙という名前を知ったのは、今回が初めてです。
展示されていたのは、何も描かれていない紙そのもの。残念ながら写真撮影はできませんでしたが、実物の持つ透明感がとても美しく、しばし見入ってしまいました。
さらに興味深かったのは、雁皮紙を使った記録用紙も展示されていたことです。
普段、私たちは紙に書かれた文字や描かれた絵に目を向けがちですが、それを支える紙そのものにも、こんなに奥深い世界があるのですね。
さて、展示されていたのは華やかな千代紙だけではありません。小さくて可愛らしい千代紙のぽち袋も並んでいました。

桜や梅、紅葉などの植物文様から幾何学的な模様まで、実にさまざま。展示品は現代のぽち袋よりも小ぶりで、硬貨を入れて渡していた当時の用途を思えば、なるほどと納得です。
ちょっとした心遣いを、小さな袋に包んで届ける。そんな習慣が、形を変えながら今も受け継がれているのですね。
現代でも、ほんの気持ちを添えて何かを渡したいときに、こんなぽち袋があったら素敵です。古典的な和柄が好きな私としては、桜の模様にはついつい心を惹かれてしまいます。
……生前整理を心がけている身としては、これ以上モノを増やさないようにしたいところですが(笑)。
展示には、河鍋暁斎、竹久夢二、川瀬巴水らの作品もありました。
今回は絵師たちの作品を鑑賞するというより、千代紙や小物など、暮らしの中に息づくデザインを楽しむという趣がありました。普段、美術館で目にする絵画とはまた違った面白さです。
なかでも、夢二らしい草木の描写には目を引かれるものがありました。古い時代に生まれたデザインでありながら、現代にも通じる新鮮さがあります。
とはいえ、今回の展示は特定の絵師の作品だけでは語り尽くせません。和紙そのものの美しさから、多彩な文様、絵師たちと作り上げてきた意匠まで、見どころが実に豊富でした。
そして最後に印象に残ったのが、贈答品としても重宝されていた団扇です。

団扇そのものだけでなく、描かれた絵の原画も数多く展示されていました。絵の美しさはもちろんですが、団扇の骨の細工も見事。細かなところまで丁寧に作り込まれていて、思わず見入ってしまいました。
実用品でありながら、そこには美術品としての魅力もあります。紙を生かす職人たちの技と工夫にも、あらためて感心しました。
ミュージアムショップには、千代紙やぽち袋、栞やノートなど、現代の文房具も並んでいました。
けれど、展示そのものの見応えが十分すぎるほどで、すっかり満足してしまった私。
紙の美しさ、絵師たちの意匠、そして職人の細やかな手仕事。
「和紙がおりなす日本の美」というタイトルどおり、和紙を通して広がる日本のデザイン文化をたっぷりと堪能した一日となりました。







































