「現存天守12城でかっこいいと思う城」ランキング!
第1位は「松本城」【2023年最新投票結果】(ねとらぼ調べ)
昨年度も、第一位を獲得致しましたが、本年度も一位に輝いた松本城。
黒漆塗りの天守の壁が、質実剛健さと優美さを醸し出しています。
第1位は、3323票を獲得した「松本城」でした。長野県松本市にあり、「深志城(ふかしじょう)」とも呼ばれます。戦災を免れ、国宝にも指定されています。
日本最古の五重六階の天守であることや、美しい黒い壁が特徴の松本城。明治以降、城主がいなくなった後は、天守を使った博覧会が開催されたことなどにより、人々の関心を高め、破却を防いだそうです。
コメント欄には「松本城のバックに雪化粧をした北アルプス、澄んだ青空が広がる風景が美しい」「漆黒の城はどの角度から見てもかっこいい」などといった声が寄せられました。(ねとらぼ調べ)
この黒漆壁は、漆職人の方が毎年塗り替えてくださっているものです。
天守壁面の漆は、毎年9~10月に塗り替えられています。この季節に塗り替えが行われているのは、科学的な理由があります。
漆の主成分はウルシオールという樹脂分です。
空気中の水分を取り込むことで乾くため、乾燥させるには気温20~25℃、湿度60~65パーセントという条件が求められます。
その気象条件を満たす秋口に塗り替えられるのです。
夏の紫外線で傷んだ漆は、秋に化粧直しされ、冬支度を整えます。
漆の耐久性は驚異的で、酸やアルカリ、塩分、アルコールに強く、耐水性、断熱性、防腐性にすぐれています。
ただ、唯一の弱点は紫外線です。
天守は紫外線に年中さらされているため1年もすれば傷みが生じ、長くても3~5年で耐久力が尽きてしまいます。
松本城天守の漆が毎年欠かさず塗り替えられているのは、そのためなのです。
この深く光沢のある漆黒は、海外からも評価されています。
この黒色は、漆だけでしか表現できない色なのです。
この毎年の工事を担当しているのは、地元の漆職人の碇屋公章さんです。
昭和の解体修理の際、先代の碇屋儀一さんが請負ったものの、
材料費を考えれば儲けはなく、どちらかというと善意での参画だったようです。
前述のように、漆は1年も経てば傷みが目立ちはじめます。日々傷みを増し汚れていく松本城天守群の姿を、碇屋儀一さんは職人として放っておけなかったようです。
手話の解体修理ののちの10年間は、自腹で塗り替え作業を行っていたようです。
なんと、70年間も松本城に漆を塗り続けてきたそうです。
全国唯一の漆黒の天守は、職人の心意気と誇りによって伝統となり今も美しく光り輝いているのです。