信州松本ぺんぎん堂

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【信州の方言】こずむ

 

いや〜、暑くなりましたね

みなさんお元気でお過ごしでしょうか?

 

暑くなると冷たい飲み物を飲みたくなりますが、私にはそんな時期になると絶対に思い出してしまう信州の言葉があります。

それはこずむです。

 

みなさんは、この「こずむ」の意味、わかりますか?

 

粉末のジュースなどを水に溶かして飲んだ経験のある方は多いと思います。

あのときに溶けきらずにコップの下に沈殿した状態を「こずむ」「こずんでいる」と言います。

また、カルピスやオレンジジュースなども氷を入れたグラスに注いだのに、しばらく飲まずに放っておくと氷が溶けてきますよね。するとグラスの中は氷が溶けてできた水が上の方にあって、ジュース成分が下に沈殿しているという状態になりますが、これも「こずんでいる」状態です。

 

私がこの「こずむ」「こずんでいる」が方言だと知ったのは大学生になって上京してからです。

友だちとジュースを飲みながらおしゃべりをしていて、ついつい会話に夢中になってジュースを放っておいたら氷が溶け、ジュース成分が下にこずんでしまったことがあったのです。

そのときに

「あ、ジュースこずんじゃった」

と言ったら友だちに

「何?なんて言ったの?」

と聞き返されて初めてこずむが方言だと知ったのでした。

 

けれど、「こずむ」を使わない地方のみなさんはこのこずんだ状態をなんと表現しているのでしょうか?

一般的には「沈殿」「沈殿している」と言うのでしょうが、わたし的には「沈殿」はちょっと大げさすぎる表現に感じてしまうのです。

なんというか、「沈殿」とは理科の実験のときにビーカーの中で薬剤が溶けきらずに底に残っている状態とか、池の水が濁って泥やゴミが底に溜まっているような状態を「沈殿」と言うのではないか、という気がしてしまうのです。

まあ、池の水が汚れて泥やゴミが底に沈殿している状態もこずんでいると表現したりもしますが、10代で故郷を出た自分からすると「こずむ」はなんというかコップやお椀の中で起きている現象というイメージがあります。長野県出身者みんながそう感じているというわけではないとは思いますが、長野県民のみなさん、どう思いますか?コメントに書いてくださるとうれしいです!

 

ところで、ことばのまどというサイトによると

 

この「こずむ」が共通語ではないと気づいたのがいつだったかは定かでないが、母親の出身地、長野県の方言だと知ったのは今の仕事をするようになってからのことである。隣接する山梨県静岡県の一部でも使われているようだ。

 このコズムは、「一か所にかたよって集まる」意味を表す古語「こづむ(偏む)」の名残りだと思われ、実に由緒正しきことばなのである。

kotobanomado.jp

 

ということだそうで、「こずむ」は実は由緒正しき言葉なんですね。

信州の方言にはほかにも古語が由来じゃないかと思われる言葉が結構残っているように感じます。「遥か昔」「遙か前」などの「遙か」から来ていると推測できる「はあるか」という言葉とか。そう考えると故郷信州の言葉の愛おしさが増していきます。

いまの信州の若者はもうほとんど方言を使わないと思いますが、古語由来の言葉が時代の流れとともに消えていくのはとても寂しく思います。

 

ということで、当ブログでは時々こうして信州のお国言葉に関する記事も書いていくことといたしました。

とはいえ、私が松本市出身なのでここでご紹介する信州ことばの多くは松本地方で使われているものに偏ってしまうとは思いますが、ご了承いただけると幸いです。

 

また、こちらの記事はYouTubuとも連動しております。短い動画ですのでそちらもご視聴いただけると喜びますヽ(=´▽`=)ノ

 

 

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございました!