標高657m 松本空港はなぜ「日本一離着陸が難しい」といわれるのか
今日は、信州まつもと空港の話題です。
コロナ禍で利用客の伸び悩みが深刻化していた信州まつもと空港。
この信州まつもと空港は、「日本で最も着陸が難しい」と言われています。
なぜなのでしょうか。
まつもと空港は、日本で一番標高の高い場所にあります。
標高は657メートル。
2位の福島空港(福島県玉川村)の372mを285mも上回ります。
しかも、周囲を北アルプス連峰や美ヶ原など、1500~3000メートル級の山々に囲まれています。
業界用語には疎いのですが、計測着陸装置(ILS)の設置が難しく、平行誘導路や飛行機が方向転換するためのターニングパッドもないそうです。
計器着陸装置(けいきちゃくりくそうち、英語: instrument landing system、(ILS)とは、着陸進入する航空機に対して、空港・飛行場付近の地上施設から指向性誘導電波を発射し、視界不良時にも安全に滑走路上まで誘導する計器進入システム
各種計測機器が導入される前は、パイロットが目視で確認して着陸していたそうです。
さすがですね。
2020年7月からは、GPS(衛星理想測位システム)の位置情報を、飛行機に搭載した航法コンピュータで滑走路の中心延長線上に誘導して着陸しています。
まつもと空港は1993(平成5)年に管制塔が完成し、4人の航空管制運航情報官が業務に就いていましたが、2022年4月からは、新千歳空港から遠隔で、
・滑走路
・天候
・付近を飛ぶ航空機
の状況などの情報を収集して、機長らに伝えるリモート運用に変更されました。
その為、今現在、まつもと空港の管制塔は無人となっています。
因みに、
・中標津空港(北海道中標津町)
・紋別空港(同紋別市)
・鳥取空港(鳥取県鳥取市)
・庄内空港(山形県酒田市)
も、管制塔は無人のようです。
まつもと空港に話を戻しましょう。
空港の標高の高さが飛行機に与える影響は大きいらしく、標高の低い空港に比べてエンジンの出力が出にくいそうです。
それにともなって離陸時の滑走距離が通常より長くなる影響があるといいます。
まつもと空港の滑走路が、他の空港と比べて長いのかどうかは、他の空港を見たことがないので私にはよく分かりませんが。
周囲を3000メートル級の山々に囲まれている影響も大きく、滑走路に直線状に降下することが出来ないそうです。
着陸設備が整った今でも、諏訪市から松本市付近にかけての上空で8の字や数回のターンを繰り返してから、滑走路にアプローチしているようです。
ですが、飛行機に搭乗している乗客の皆さんは、アルプスの峰々や富士山などが見える絶景が見られることでしょう。
日に数えるほどしか運航していませんが、私の住んでいる安曇野地方の上空を飛びながら着陸態勢に入るところをよく見かけます。
大層大きな音ですので、これは、日の発着便が多い空港の近くに住んでいる人は、大変な騒音を感じているのではないかと思います。
さて、信州まつもと空港では、2022年度の利用者は22万8000人余で25年ぶりに20万人を越えたと言います。
長野県は
「空港や周辺地域そのものが観光資源である」
とした上で
「山岳高原空港そのものを観光資源、情報発信の場としてとらえた活用を推進するとともに、空港や空港周辺のにぎわいを創出していきたい」
と、コメントをしています。
将来的には国際線も就航させたいようですが、どのようになるのでしょうね。
コロナ禍になる以前は、中国や台湾にチャーター機を飛ばしていたような記憶もあります。
また、近くには、サッカーJ3松本山雅のホームスタジアムであるアルウィンもあります。
日本で一番空に近い空港として、まだまだ伸びしろのある信州まつもと空港です。
観光客の皆さんが大勢利用してくださるといいなあと思います。
私は、一度、松本-神戸間を利用してみたいなあと思っています。