信州松本ぺんぎん堂

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東京で五平餅を食す

こんばんは、茶々丸です。

今日のごはんは五平餅だよ〜。

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すごくいい感じの包装

これは以前、松本在住のMさまから送っていただいたものです。伊那市鈴平さんという会社の商品です。鈴平さんとJA上伊那、上伊那農政対策委員会は毎年、新入学の児童に地元産のお米を使った五平餅を入学祝いにプレゼントしているみたい。地産地消もできるし、地元の食文化も伝えられるし、すばらしい取り組みですね!

www.iijan.or.jp

中はこんな感じ。

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うれしい個包装

3本入りで、それぞれに味噌だれが1袋ずつ付いています。個包装だから、一気に食べなくても大丈夫というところがひとり暮らしにはうれしいポイントです。

これを、袋を切って電子レンジで2分ほど温めてから直火で焼き、全体に味噌だれを塗ってまた直火で焼く、という調理方法でいただきます。

うちには焼き網がないので魚焼きグリルで焼きました。

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できあがり

もっと焦げ目が付いた方がいいんだろうけれど、グリルの中でどんどんお味噌が下に落ちていくのを見るともったいなくて、そこそこの仕上がりで出してしまいました。しかもお皿に味噌だれつけっぱなしでお見苦しくてごめんなさい。串の部分は直火で焼けないようにアルミ箔でガードしました(アルミホイルよりもアルミ箔って言葉がなんか好き)。

甘く味付けされた味噌には黒ごまと白ごまの擦ったものが入っています。芳ばしくておいしいです。ベースとなるごはんもとてもおいしいです。いいお米使ってるなあという感じがしました。

これはおうちで手軽に五平餅を味わえる、ナイスなおみやげですね。五平餅作るの意外と腕力要りそうですもんね。ごはん潰したり、味噌だれに入れるくるみなどの木の実を潰したり。Mさまいつもありがとう!

 

信州の味、と書きましたが、広大な信州ですからやはり県全体で食べられていたものではありません。私が五平餅を初めて食べたのも確か高校生くらいのときで、どこかのサービスエリアで食べたと記憶しています。どこかで「あのサービスエリアの五平餅はうまいらしい」と耳にしてきた家族に連れて行ったもらったような………。当時、松本では信州には五平餅という郷土料理があるという話を聞いたことはあっても、そこらでみかけたことはありませんでした。

では、五平餅はどこの食べものなのかというと、木曽、伊那、飯田地方の郷土料理です。しかも、信州以外に岐阜県の東濃、飛騨地方、富山県南部、愛知県奥三河地方、静岡県北遠、駿河地方の郷土料理でもあるそうです。広く中部地方の山間地で食べられていたものなんですね。しかし、Wikipediaには江戸時代中期頃に木曽・伊那地方の山に暮らす人々によって作られていたものが起源とあります。これが本当ならちょっとうれしかったりして。

ちなみに「ごへいもち」という名前の由来には神前に捧げる御幣に似ているから御幣餅という説と五平さんという人が毎日山仕事のときにごはんを潰したものに味噌を塗って食べていたのが始まりだから五平餅という説があるそうです。

 

ご存じの方も多いと思いますが、五平餅には丸い形のものもあります。

こちらは以前、木曽の奈良井宿のおそば屋さんで食べた丸い五平餅です。

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まあるいフォルムがかわいい

ごま味噌とくるみ味噌だったかな(記憶が曖昧です)。こちらもすご〜くおいしかったです。

昔、伊那出身の知り合いが実家のお母さんが作ってくれた五平餅を分けてくれたことがありましたが、その五平餅の味噌だれは山椒が効いていて、それもすごくおいしかったです。それぞれの地域や各家庭によって味噌だれの味が微妙に違うんでしょうね。

 

五平餅は潰したごはんを木の串に刺して味噌だれか醤油だれをつけて焼いたものですが、そのごはんを潰すことを半ごろしというらしいです。ちょっと物騒です。

そういえばそんな昔話ありましたよね?

ある旅人が山の中で日が暮れてしまったので近くの民家に一晩泊めてくれるようお願いすると、その家に住む夫婦は快く泊めてくれた。けれど、夜になったら夫婦がひそひそと「半殺しがいいか」「皆殺しがいいんじゃないか」と話し合っているのが聞こえてきて、旅人は夜中なのに血相変えて逃げていく。しかし、実は夫婦が話し合っていたのはごはんの潰し方のことだった……。

まあ、このお話の場合は五平餅じゃなくておはぎだった気がするんですけど。

 

飯田市のホームページには味の文化財として御幣餅が紹介されています。飯田市の場合は御幣餅の方なんですね。

(た)き立てのうるち米を潰して(半ごろし)串に刺して、ミソあるいはしょう油クルミ・ゴマなどのタレをつけて焼いた食べ物です。伊那谷だけでなく、三遠南信、木曽、飛騨地方の山深い集落にみられる食べ物です。

阿南町新野(あなんちょうにいの)などでは山の神の祭に御幣餅が供えられており、山の神に捧げるご馳走として始まったとみられます。白米をぜいたくに使った御幣餅は、白米の少ない山村でのご馳走であり、ハレ(※1)の食でした。現在でもお祝いごとや来客をもてなす際に食べられています。

形は団子形(だんごがた)と小判形(こばんがた)とあり、団子形は下伊那では飯田市以北で、小判形は下伊那南部で作られている傾向があります。

現在では素朴な郷土料理とされている御幣餅が、お米を作るのが大変だった山間部の人たちにとってどれだけ特別な食べものだったことか。山の神様に捧げる特別な料理。考えるとちょっとじーんときます。

今度は自分でごはんを半ごろしにして五平餅を作ってみようかな。

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございました!

 

この味噌本当においしいです。我が家の常備品。